愛してる。その時は、愛してる。

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すずめが自分の下を飛んでいるのが見えた。 何時もは上を飛んでいるはずなのに。 フェンスに触れると、カシャンと金属が擦れる音がした。 彼の前に、それは無い。 「下ばかり見てると、落ちて行きそうだよな。そんで、次の瞬間には落ちたいと思ってて、行動に移ってる」 一際、強い風が吹いた。 少し驚いたように見つめる俺なんて気にせずに、彼は続ける。 「だけど落ち始めたらもう止まらねぇのに、馬鹿な奴はやめれば良かったなんて思うわけよ」 それでジ・エンド。 それじゃあ遅ぇよな。なぁ、秋元。 まるで、同意を求めるように。 口の端を上げてにやりと不適に笑う。 そんな彼の横顔は不覚にも綺麗で、それでも口走っている事は自身の世界観。 恐らく彼はそんなつもりは無いのだろうが、それは少なからず人を圧倒させる力を持っていた。 同時に、途方もなく抱きしめたくなるような感覚に襲われる。
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