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「……おろ?」
ローブの男は、暗く、辺りの何も見えない謎の空間に、ポツリと立っていた。
「ここはどこ? 私は誰? ……あれ? 私は誰って僕は誰だ? 僕は誰で私も誰だから、つまり僕は誰だ?」
訳の分からない事を呟き、首を傾げながら男は辺りを見回していた。
「やっ、おはよう、やっと起きた?」
暗いので誰だかは分からないが、どこかで誰かにそう言葉を掛けられた。
すると次の瞬間、薄暗く辺りに明かりが灯った。
ここはレンガ……とは断定できない、謎の石畳でできた床の上に立っている様だ。 明かりが灯っても暗いので奥には何があるのかも分からない。 しかし目の前には1人の青年が先頭に立って、武装した兵隊の様な方々が後ろで数十人立っているのは分かる。
「えーっと」
ローブの男は状況が飲み込めず、ポカーンとしている。
そんな姿を見て、青年はこう言った。
「ほら、おはよう、やっと起きた? って言われたら、言う事があるでしょ?」
「……あと5分寝かせて」
「オーライッ!! この状況でよくもそんなくだらなくて面白く無い事が言えたものだ、びっくりしたよ」
「あ、あの!! ここはどこですか?」
「うーん、地獄……かな」
「じ、地獄ですか!! こ、この僕がなぜ地獄に!!」
「おっと、勘違いはちょっと早いぜ、良い知らせだ、ここは地獄より更に下、通称『グロリアン・ワールド』と呼ばれている」
「……それは裏の裏が表という原理で、ここは天国という事ですか?」
「バカな、地獄の更に下はもっと悪い地獄だよ、普通地獄に来る行いをした者、それよりも更に悪い行いをした者が来る場所さ!!」
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