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「……あの、僕死んだという事は覚えているのですが、いかんせん自分の名前すら覚えていない、記憶喪失らしく、地獄に来る理由が分からない……」
「当然さ、グロリアン・ワールドに来る者は、記憶が抹消される、つまり君は記憶喪失と同じ状態になったんだからね」
少し……いや色々考えてみた、何も覚えていないが知恵はある。
地獄と言う場所がとても辛い場所だと言う事も分かる。それを理解すると、少し前のクールなダーク・ローブ・マンはそこにはもうなく、ただの黒いローブの男は死の宣告を受けた患者の如く錯乱した。
「いやいやいやいやいやいや!! いやだあああああ!!」
「いやいやいやいや、諦めなって、心頭滅却すれば火もまた涼しく、住めば都、ウェルカム地獄、あ、俺ファングっていうんだ、これから君の担当だから、宜しくね、名刺いる?」
「な、何をしたって言うんだこの僕があ!! このバカあ!! バカファング!!」
「……こいつ本当にダーク・ローブ・マンなの?」
あまりの狂いっぷりに、ファングは後ろの兵隊に聞いた。
「はっ!! 間違いありません、これが資料です!!」
兵隊から1枚の紙をファングは受け取った。
そして淡々と読み上げる。
「君は黒いローブを羽織っている事からダーク・ローブ・マンと呼ばれ、世界中をたった剣一本で震撼させた、恐ろしい殺人鬼さ、被害者は215人、被害総額は金貨1000枚に昇る、うん、ここまで来ると鮮やかだ」
「僕がやったの?」
「よっ、ダーク・ローブ・マン」
「……僕のバカあああ!!」
黒いローブの男は、もう目一杯床に頭を打ち付けて、パッタリ倒れた。
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