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「この平和な日々が、未来永劫続きますように…」
少女は、つばさに聞こえぬくらいの小さな声でつぶやくと、祈り玉をかばんの中へと戻した。
「さ、準備も完了したことだ。
出発するぜ?ひかる、舵をとれ」
「言われなくても分かってるわよ。
ったく、船長ぶっちゃって」
好奇に満ちたつばさを、少し身をひいた位置で見守るひかるの口調は優しかった。
大きな青い空に、船の帆があがった。
ばたばたばたっ、と風をうけて暴れる帆は、大きな始まりの音となる。
「ひかる~!帆は上がったぜ~!」
舵をもつひかるのもとへ届く声を合図に、彼女は、舵を大きく左にきった。
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