プロローグ 

3/7

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
自分はただの道具だということ。 道具に感情は必要ない。 死に怯える人へ、熱く燃えさかる炎の塊を幾度となくぶつけてきた。 その度に少女は痛感した。 ずば抜けた火炎能力は、人を殺めるために授かったものではないんだと。 ゙史上最年少のS級戦士゙ そんな褒め言葉はいらない。 最高級の商号を持つ戦士、その理由で常に第一線へと配置されていた。 殺めた人々は数知れず。 それでも、慣れる事なんてなかった。 二度目の風があたりを包む。 今度は、強風と言った方が正しいのだろうか。 王国の灯に加勢をかけて、更に勢いを増していく。 …(かい)だ。 と、とある名を思い浮かべた直後、耳慣れた声が少女に届く。 「やっと、終わったな…」 少年だろうと憶測出来る声の主は、疲労と哀しみを含んだ声音で少女に語りかけた。 少女は静かに振り向く。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加