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「くっそ~…。あんにゃろ、めちゃくちゃ重いじゃねぇか…」
とある港町の一角。
漁船置き場に一隻、巨大な船が止まっていた。
船に向かって掛けられているはしごの上を、1人の少年が薄汚れた巨大な箱を片手に、足元をふらふらさせながら上っている。
「っつ、はぁ~!」
やっと上り終えた彼は、どすっという鈍い音を響かせて、荷物を船に置いた。
「…持ってきたぞ」
ごろん、と船の甲板に寝転がりながら、ポテチをぱりぱりとつまんでいる少女を、仁王立ちして見下ろす。
「あぁつばさ、ありがと。
適当においといてー」
見向きもせずに、しかしポテチを食べる手は止めない。
「…どこに置くんだよ?」
つばさ、と呼ばれた少年は呆れたようにため息をつくと、困惑したような表情で尋ねる。
が、返事はない。
聞こえてくるのは、ぱりぱりと規則的な音だけ。
「っだああああ!!
もうお前今日から死ぬまでポテチ禁止!!」
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