序章・救済を求める風

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 あなたと出逢ったその日から、世界は色を変えた。  空はより蒼く深く、星は宝石よりも美しくなった。  私は知らなかったの。  こんなにも、世界が美しいだなんて。  ただ見守るだけだった世界を、こんなにも愛おしいと思うだなんて。  だから私は私の全てをあなたに捧げようと思った。  だけど――ああ、だけど。  それが全ての過ちの始まりだった。  あなたがいる世界が歪んでいく。  あなたが、世界を歪めていく。  このままでは世界は保たない。  ゆっくりゆっくり滅びていってしまう。    お願いします――私は、私の過ちの責任は取りますから。  どうかあの人とあの人を取り巻く全ての人が暮らすこの世界を壊さないで。    お願いです。  どうか――           ――神よ
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