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「試験番号二十四番! こちらへこい!」
将軍がよく通る声で叫ぶと、試技をしていた二人は手を止めた。
相手をしていた二十三番は、明らかに自分の方が勝っているのに、何故呼ばれるのがこいつの方なんだ、と不満げである。
けれど二十四番はかまいもせずに弾む足で三人の元へ駆けてきた。
「お呼びでしょうか?」
肩で息をしながらのかろうじて笑顔を浮かべながらの言葉に、将軍は表情一つ代えずに問うた。
「志望動機を聞きたい。悪いが貴殿はどう見ても軍人向きじゃない。武芸の類をたしなんでいたようでもない。それなのに何故、王国軍を目指したんだ?」
その問いに、試験番号二十四番は「はい!」と元気に答えた後、志望動機を述べた。
「この世界を護りたかったからです!」
試験会場全体に響き渡るくらいのその声に、試験官のみならず、試技をしていた受験者まで手を止めた。
すぐに、どこからともなく笑いが起きる。
それが爆笑になるのにそう時間がかからなかった。
将軍も呆気にはとられたが周囲と同じように笑うわけにもいかず努めて平静に問いを続けた。
「……世界とはずいぶん大きく出たな。しかし、それなら政治家の方が良かったのではないか?」
「それも考えたんですが、後見もない私が政治家として大成するのは確率的にも無理があるし、時間もかかりすぎると思ったんです。その点王国軍なら実力主義ですから」
「自分にその実力がないとは思わなかったのか?」
「やってみないと解らないのに諦めるのは、私の信条に反します」
その立派すぎる答えに、周囲の笑いの気配は一層濃くなる。言葉が立派な分、どうも滑稽に見えてしまうからだろう。
けれど試験番号二十四番は、そんな周囲の雰囲気にも物怖じせず続けた。
「それとも、グインファール王国軍は外見がそぐわないという理由だけで、志のある者も弾く狭量な軍なのでしょうか?」
声のトーンを変えたその一言に、それまで笑っていた面々が頬を打たれたように静まりかえる。
彼女は王国軍の最高指令である将軍と、そして嘲笑う周囲の面々を堂々と挑発して見せたのだ。
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