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結婚の承諾を得て、当然、婚約指輪を買うものだと思っていた。
だが、里奈は「結婚指輪だけで十分だよ」とやんわりと断った。
俺はそれを、薄給の俺に対する気遣いではないかと睨んだ。
だから、二人で結婚指輪の下見をした店に、後から一人で行って、店員に相談しつつ婚約指輪を買った。
本当は、普通にクリスマスに渡す予定だった。
けれどサンタ役を頼まれて、急遽、サンタのプレゼントになった。
しかしそれも断念した俺は――。
「なあ、サンタクロースって本当にいるんだな」
言いながら、指輪を薬指にはめてやる。
「ほら、サイズもぴったりだ」
里奈は、しばらく唖然として自分の手元を眺めていたが、
「そうよ、サンタクロースはいるのよ」
その瞳は、ダイアモンドの光きを受けて、誇らしげに輝いていた。
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