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吊るさがった男
降ってきやがった。
無数の白い結晶体が、視界の端でちらついた。
何も、今、この瞬間でなくてもいいだろうに。
何故、今、この瞬間に雪が降らねばならんのだ。
さしずめ、ホワイト・クリスマス・イブ、若しくは、ホワイト・クリスマスといったところだろうか。
未だに「今日」なのか、それとも既に「明日」なのか。
時間をよく確認してこなかったせいで、皆目見当がつかない。
深く息を吐くと、白い気体が夜空に向かって霧散した。
その先を追うように空を仰げば、月が朧に夜を照らしていた。
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