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 うなだれた洋介の、吐き出される内側。  暴かれたそこには、背負うには大き過ぎる罪の意識と憤りとに、縮こまる影があった。  打ち砕かれたその姿は、かつて小学生だった自分が、義之や菊江に感じていた激情のままだった。  電子レンジが、解凍終了のアラームを響かせる。  桃香はぐっと息を飲み込み、節々の軋む痛みを抑え込んだ。  うずくまる洋介の前に膝を付き、汗で湿った髪を撫でる。 「ごめんなさい――…」 「なぁ……洋介」  驚くほど、優しい声の出ている自分がいた。  繰り返される日常と非日常の隙間に、落ちてしまわないように。  自分も――洋介も。  これ以上、こんな苦痛を味わいたくない――味あわせたくない。  もう、たくさんだった。  投げやりになるのではなく、終わらせる道を、探さなくてはならない。 「ごめんなさい――…」  繰り返し繰り返し。  がちがちと震えながら呟く洋介の髪を、同じだけ撫でる。 「ごめんなさい――…」 「あんたのあやまることやないんや。前にもうちが言ったん、覚えてるな?」
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