🌸桜吹雪🌸

2/3
前へ
/34ページ
次へ
 平成23年春──  私、各務 桜花は16歳になった。  それに伴い桜花の家族は慌ただしく〈結婚式〉の準備をしていた。  まだ顔も見たことの無い男との結婚に桜花はうんざりしていた。  高校にも入れずに、生まれたときから決まっていた自分の一生運命、 いやだとも言えずに過ごしていた時間も、もう少しで終わってしまう。 「桜花ちゃん、」   一つ年上の姉、京子が突然話しかけてきた。 「京子ネエか、どうしたの?」 「桜花ちゃん、ごめんなさいね……私の身体が弱いばかりに、こんなに早く結婚させる事になってしまって」  長い栗色の髪を振り乱しながら、泣く姉の姿を見て桜花の心はズキリと痛む。  顔さえ見たことはなくても、結婚相手は姉の好きな人だから。 「京子ねえ、泣かないで、お願いだから。  京子ねえが泣いてると……私まで悲しくなっちゃうから、ねっ?」 「桜花……ちゃ」
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加