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奈美&朝子
「奈美、待ってよ~」
「朝子、気をつけて。そこちょっと崩れてるから。」
きゃあきゃあと賑やかに瓦礫の中を進む二人は、大のオカルト好きだった。
お洒落なファッションからは想像もつかない、『そっち系』のマニアックな話をしながら足取り軽く進んで行く。
「奈美、私この前ここの廃屋ホテルの事ネットで先に調べたんだけど…」
「うん、なんか面白い情報あったの?」
「さっき管理人さんが、このホテル、火事になったって言ってたでしょ?死亡したのはその部屋に泊まってた2人だけじゃなくて、同じ階…つまり3階にいた人達が10人くらい逃げ遅れて亡くなったみたいよ。当時、新聞にかなり大きく取り上げられたって。」
「へぇ…朝子よく調べたね~!んじゃ何か写るとしたら、2人以上かな?」
そう笑いながら、奈美は冗談めかして朝子にカメラを向け、パシリと撮る。
「…てか、さっきから瓦礫に、ブーツに引っ掛かって埋もれるんだけど!」
朝子は、全く怖がらない奈美に対してちょっと残念に思いながら、せいやっと左足を瓦礫から抜いた。
奈美は返事をしない。
「…奈美?どうしたの?」
朝子は、カメラを凝視している奈美に近づき、そのデジタル画像を…見てしまった。
一瞬の、間。
「きゃあぁぁあぁぁっっっ!!!!!」
―――デジタル画像に写る朝子の左足には、沢山の腕が絡み付いていた―――
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