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雅幸&香苗
「管理人、今回もあんな事言ってたけどさ~、前回のトンネルだって、似たような話しておきながら、結局何も出なかったよな?」
香苗の肩を抱きながら、雅幸が道を先導する。
香苗はちょっと怖いのか、両手をぐっと握ったまま、腕を組んでいた。
「前回はあたしが写真ミスったしね~…」
「今回も、同じ事して期待させないでくれよな!」
雅幸はケラケラ笑いながら提案した。
「先に303号室で撮ってきてから、その辺見ようぜ?」
「あたしは何でもいーよ。」
2人は、さっさと今回のミッションをこなすべく、303号室に向かった。
錆び付いたエレベーターはあったが、当然動いてないので、隣の階段を行く。
「そいや、学校の七不思議でさぁ、昇った時の階段の数と、降った時の階段の数が違う、とかよくなかった?」
「あったあった!でも、あれってよく数え間違えとか言うよね~」
二人がそんな話しをしながら3階に着くと。
呆気なく、303号室は見付かった。
「うわっ…マジで真っ黒焦げじゃねぇ?」
部屋は、明らかに他の部屋とは様相が違っていた。
その部屋を前にすると、何故か今でも焦げ臭い…気がする。
2人は一先ず写真を撮り、3階を後にする。
階段に向かったその時。
ゴウ…ン…
何かの音がした。
2人は何の音かわからず、首を傾げる。
チー…ン…
今度は、何の音かはわかった。
が。
―――それが使えない筈のエレベーターの音だとわかると、2人は絶叫し…
開くエレベーターを見る事なく、我先にと下へ転がり落ちて行った―――
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