雅幸&香苗

1/1
前へ
/16ページ
次へ

雅幸&香苗

「管理人、今回もあんな事言ってたけどさ~、前回のトンネルだって、似たような話しておきながら、結局何も出なかったよな?」 香苗の肩を抱きながら、雅幸が道を先導する。 香苗はちょっと怖いのか、両手をぐっと握ったまま、腕を組んでいた。 「前回はあたしが写真ミスったしね~…」 「今回も、同じ事して期待させないでくれよな!」 雅幸はケラケラ笑いながら提案した。 「先に303号室で撮ってきてから、その辺見ようぜ?」 「あたしは何でもいーよ。」 2人は、さっさと今回のミッションをこなすべく、303号室に向かった。 錆び付いたエレベーターはあったが、当然動いてないので、隣の階段を行く。 「そいや、学校の七不思議でさぁ、昇った時の階段の数と、降った時の階段の数が違う、とかよくなかった?」 「あったあった!でも、あれってよく数え間違えとか言うよね~」 二人がそんな話しをしながら3階に着くと。 呆気なく、303号室は見付かった。 「うわっ…マジで真っ黒焦げじゃねぇ?」 部屋は、明らかに他の部屋とは様相が違っていた。 その部屋を前にすると、何故か今でも焦げ臭い…気がする。 2人は一先ず写真を撮り、3階を後にする。 階段に向かったその時。 ゴウ…ン… 何かの音がした。 2人は何の音かわからず、首を傾げる。 チー…ン… 今度は、何の音かはわかった。 が。 ―――それが使えない筈のエレベーターの音だとわかると、2人は絶叫し… 開くエレベーターを見る事なく、我先にと下へ転がり落ちて行った―――
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

115人が本棚に入れています
本棚に追加