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信夫&深雪
他のメンバーとは違うルートで、303号室に向かいながら。
「ねえ、信夫。あのコ、ヤバい気がする。」
深雪が口を開いた。
信夫には、深雪が言う「あのコ」というのが、黒髪の少女の事だという事が直ぐにわかった。
「今まで深雪がそう言って、それが外れた事はないからな…どうする?」
「ん~…一先ず、無視する。」
「…それ、根本的な解決にはなってないが…」
信夫は深雪を半ば呆れながら見、付け加えた。
「んじゃ、今回奴らへの悪戯はやめて大人しくしとけよ。」
「いや、死者への冒涜はやっぱり許せないから、それは決行。」
握りこぶしをぐっと上にあげ鼻息を荒くした深雪に、信夫はそれ以上何も言わなかった。
その時。
廊下の一番奥から、物凄い冷気がした。
今は2月、それなりの冷気がするのは当然だが…2人は、初めて「マイナス温度の世界」に突き落とされた感覚を味わったのである。
奥が暗過ぎて、姿は見えない。
が、靴音がする。
コツ、コツ…
まっすぐ、こちらに向かって近づいてくる。
コツ、コツ…
真っ暗な闇の中から、真っ黒な人影が近づいて来る。
長い真っ黒な髪が、割れたガラスから吹き込んで来る風に煽られ、頭を取り囲む様に広がった。
黒髪の、少女!!!
―――2人は驚き、急いで他のメンバーの元へ駆け出した……
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