序章

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パチ屋、って言ったけど、当時アツかったのはスロットの方。 サミーが「獣王」って機種をリリースした少し後ぐらいの時期だったかな。 各社がでたらめな勢いで発表する爆裂AT機を、俺も、これでもかと言うほど打ちまくってた。 爆裂AT機ってのは、今は「射幸心を煽る」って理由の下に仕様で禁止されてるんだけど、ハイリスクハイリターンを絵に描いたような機種で、20万、30万勝つ事もざらにある機種だった。 まあ当然、負ける時は10万持って行っても昼過ぎにはオケラったりする事があったんだけど。 そんなわけで、俺はいつしかバイトそっちのけで朝からパチ屋に並び、他の常連達とああでもないこうでもないと雑談しながら開店を待つのが日課になっていった。 ネクタイをしめたサラリーマン達は、通勤中にゲロを見るような視線で俺達の事を見ていたけど、 なんというか、その視線に妙な解放感というか高揚感を感じていたのは確かだ。 で、その常連の中に、奴が居た。
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