オアシス

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雨の降る寒い朝だった。 その日はホーム近郊にグランドオープンの店があるとかなんとかで、常連連中のほとんどが、そちらに浮気したのだろう、並んではいなかった。 いつもの時間にいつもの場所に立っていたのは、俺とオアシスの二人。 「…はようございます」 「…おう」 いつもは常連連中というクッションがあったせいで、俺がオアシスと一対一で話すのは実はこの日が初めてだった。 ポツポツと、雨音のようなリズムで少しずつ言葉を交わした。 オアシスからは、 「若いうちからこんなとこ出入りするな」 とか、 「お前、普段なにやってんだよ」 とか、半分こちらの事を心配するような発言が多かった。 もっとも、自分のホームを若い奴に荒らされたくない-という気持ちからの発言なのかもしれなかったけど。 あと、どうしてかよく分からないけど、俺はオアシスと二人で会話できた事が少し嬉しかった。 その日、俺は久しぶりにハードボイルドという機種で万枚を出した。 なんとなくオアシスのおかげかな、と思ったりもした。 帰り際、偶然換金所でオアシスと会った時に向こうもニヤニヤ笑っていたので、きっとオアシスも勝ってたんだと思う。
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