きゅーじつ

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「私としても、あなたの行く末を心配しているのですよ、リコル。私ほどでなくても、官僚くらいの地位につけばどれだけ生活が楽になることか。あなたを妹のように思っている私の気持ち、少しは考えてほしいです」 「ミカ様ぁ……」 珍しく、真剣でシリアスな口調だった。 雰囲気に飲まれて図らずも感動してしまう。 思えば、この人が今の地位までのしあがった所以は、完全なアメとムチにあるんだよね。 まさに機械的ツンデレ。 私なんかがツンデレとなのっていいのかと言うほどの計算されたツンデレだ。 普段のセクハラも、時にはアメとなり、時にはムチとなる。 これで堕ちない奴はいない。 前も給湯室的なところで、 『どう? これがいいの?』 『さ、最高れふぅ……ミカしゃまぁ……っ』 という声が漏れていたのを聞いたことがある。 そこで何があったのかは各自の判断に任せる。 私はなにも考えないことにしてマスので。 「んー……」 アメをもらい、洗脳気味にやる気が出たところで、私は再び下界を見下ろすことにする。 四角い建物ばかりでなんの面白味もない光景に辟易しながら、今回のゆーしゃ様を探す。 あ、ビックサイトだ。 コミケまではまだ日にちがあるなぁ。 夏は遠いぜ。 「TMブースは私が回ってあげるから」 「マジッスか!? いやっほーっ! いやもうほんとにどんだけ『雌豹使いの夜』略して『めひょよ』の発売遅らせるんすかねー。タケノコさん」 「忙しい、というか、彼にも彼なりのスピードがあるんですよ。それより、西方ブースはそちらに回ってもらいますからね」 「いーんですけど、西方じゃ著作権とかそういうのカバーできてませんよ」 「あ、そういえばありましたねメイド弾幕」 「ま、ZUNさんは二次創作ウェルカムって言ってるし、実名だしてもいいんじゃないっすか?」 「いや、それだと運営の方々に拾ってもらえな」 「なんのこと言ってんすかミカ様」 そこまで内情を開けっ広げに語んなよ。 カットすれば問題ないっつーの。 「そんなことより」 俯瞰再開。 うーん。ビックサイトは見ないことにしよう。 視線を下に向けてみる。 エキスポランドがあった。 ……て、あれ? 潰れてる? 客一人もいないじゃん。太陽の塔は残ってるけど……。 「そういえば、事故とかで閉園になったって新聞に書いてましたね。たしか今年の……春?」 「今年って何年でしたっけ?」 「えーと、21世紀」 時間感覚が違うんだった。
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