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「うーむ」
携帯を開く。
困ったときの文明のリキ君なのだ。
どれどれ、カレンダーによると現在は2010年6月20日日曜日……。
ふむふむ。
エキスポランド閉園は昨日のことみたい。
感覚的には。
「うへー……、行きたかったのになあ、エキスポ……」
「まったく、遊ぶことしか考えてないんだから」
再び嘆息を漏らすミカ様。
「しょーがないですよぉ。私はエピクロスな星のもとで生まれた堕天使っすから」
「自分で堕天使言うな」
急に暗黒面が露呈するのもご愛敬。
「──あ」
と、のんびりとギャグパートを展開していると、不意に、ある人影が目についた。
太陽の塔からやや右に行ったところ。東京湾に隣接したとあるマンションの一室。
その中にいる、どこにでもいるような普通の青年を、見咎めた。
見つけた、今回のゆーしゃ様。
「ミカ様、私、行ってきます! 今度こそ世界を守らせて見せます!」
背中の翼に力を込め、飛ぶ体制を整えてから、私は言った。
「あら、見つかりましたのね。行ってらっしゃい。怪我しないようにね」
「はい!」
あくまで妹を心配するような姉口調に、力強く頷いて、私はステルス機よろしく、空を駆けた。
「よーし、しぇる・たーいむ!」威勢のよい掛け声と共に、今回のクロニクルは開始するのだった。
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