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時系列でいうと、実は、俺が眸ちゃんと出会ったのは、沙那美ちゃんと知り合ったあとなのだ。
いや、まあ、そうやってぼかす必要もなく、沙那美ちゃんというのは、俺の幼馴染みだったりする。
幼馴染みの沙那美ちゃん。
どうも語感的に似かよっている気がするけど、これは偶然であってほしい。
……というのは、どうでもいい話だが、沙那美ちゃん──彼女はかつて、同じ小学校に通っていた同級生なのだった。
中学に上がる前に引っ越してしまったが、まさか、同じ大学に来ているなんて、知ったときはかなり驚いた。
沙那美ちゃんは俺と違って田舎っ気が抜けていたので、服装も、性質もだいぶ垢抜けた、一般人そのものになっていた。
抜けまくっていた。
そのせいか(どのせいなんだ?)、おっぱいもなかなかばいんばいんに育ち上がってしまっていた。
これが、不健全(もしくは過健全)に成長した人間の悲しいところか、俺はどうしてか巨乳に対して発情できず、むしろ貧乳に惹かれるという、ナイスなプロポーションに育ち上がった沙那美ちゃんには申し訳ない性癖が根付いてしまっていた。
タジタジだ。
沙那美ちゃんの前でものすごく不自然な態度を、俺がとってしまったのが原因で、現在疎遠という形になってしまっている。
冷蔵庫が空なのは、ほとんどそのせいだと言っていい。
俺の馬鹿。
余談だが、眸ちゃんは貧乳である。それも重度の、極貧と言っていいくらいの。
それでロリータ系ファッションが異様に似合ってるから反則なんだよな、眸ちゃん。
かなりイタイけど(これは都会慣れしてきてようやく身に付いた感覚である)。
うーむ。
モノローグが多い気がするが、結局、朝飯がないということは変わらない。
二度寝でもしようか、と思ったが、体に染み付いた農家バイオリズムがそれを許さなかった。
「…………」
数秒考えて、布団でも干すか、とまったくどうでも良さそうなことをすることに決めた。
まあ、意味がないというわけではない。
汗っかきの俺の布団はすでに汗でビショビショなのだ。
これを閉めきった部屋に放置するというのは非常によろしくないことである。
うん、もしかしたらベランダにシスターさんが干されてるかも知れないしね。
「…………」
自分で考えて、自分が嫌いになった。
よくこれでリアルの女性と付き合えるよな。
俺をこちら側に引き込んだのは眸ちゃんだけど。
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