COUNT.01 街と始まる世界の範囲

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同時間軸、南西350m地点---。 「おい待てお前等!」 通りをそれた裏の路地。 二人組が路地を駆け抜ける。 その後ろから、ゴツい体型の男達が路地に在る大型のごみ箱や、 そこで寝ている廃れた者達を蹴り飛ばしながら二人組を追いかけている。 「あいつらしつこいな…。」 「ほら、喋ってる暇があったら全力で逃げなさい!捕まっても助けてあげないわよ!」 「はいはい…。苅谷には頭が上がりませんなぁ。」 ゴチッ 「は・し・り・な・さ・い」 「ってて…はい…」 「よろしいっ!」 「で、目の先に壁が在るんだが。」 「ありゃ~、どうする?」 走りながら話し掛けてくる苅谷。 その顔はどこか楽しそうに見たた。 「どうする、って超えるか戻るかしか無いだろ?」 「でしょうね!だったら…」 そう言って苅谷は加速した。 あぁ、やるしかないか。 『超えるまでよ!』 二人で声を合わせて、 空中に大きな弧を描いて ジャンプした。 世界がゆっくり進む様に 俺達もゆっくり落ちていく。 タタンッ 「ナイス着地!苅谷。」 「ええ、ありがと。シバもなかなか良い着地だったじゃない!」 「あぁそうか。サンキュ。」 そう言って、壁を超えた俺達はハイタッチした。 今まで暗い路地で見えにくかった 二人の顔が太陽の明るい光に 照らされる。 一人は、パッチリ開いた目で色は淡い緑、 髪は明るいピンク色の少女。 一人は、金色の瞳(め)に、茶髪の少年。 腰には剣の無い鞘がささっている。 「さすがにあいつらも越えては来ないでしょうね。」 「だといいんだけどな。」 壁の向こうからは、 追いかけきていた男達の 怒号が聞こえる。 「さ、いきましょ」 「おう」 短く話して歩きはじめた。 ピィーーーーッ 壁の後ろから高い笛の音が、辺りに響いた。 『何!?』 二人はとっさの出来事に背中を合わす。 「この笛を鳴らしたからにはお前達は生きては帰れないぜぇ!?」 壁向こうの男達が言った。 それと同時に、俺達の進行方向の曲がり角から、 狼の様な生き物が3匹ほど出てきた。 大きさは自転車くらい、 色は若干赤い黒色、 身体からは何か細かい何かがサラサラと落ちている。 「フゥーーーッ」 荒く息を吐く音がよく聴こえる。 「?。合成獣(キメラ)か?」 「関係無いわ。倒すまで!」 狼の様な生き物はこちらに近づいてくる。
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