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「とりあえず後ろからあいつ等が来る前に突破するぞ!苅谷!!」
「はいはーいっ!」
苅谷は後ろ腰に掛けてあった
手袋(グローブ)を取り出して、
目の前で合わした。
「ЯΙιλνρЖ」
<我求む。解放を。>
苅谷はアレを唱え始めた。
「Ж」<解放>。
そう唱えた苅谷の手から大きな斧が出てきた。
今苅谷がやったのは
武器詠召(リード)。
一人ひとりが所有する道具を媒体に、
武器を呼び出す事が出来る。
ちなみに武器は、自分で作る事も、
店で購入する事も出来る。
「うりゃぁぁぁあああ!!」
苅谷が疾走してキメラに攻撃を仕掛ける。
キメラは3匹。
敵はそれぞれ3方向に別れた。
最初の一匹は壁伝いに走って来る。
苅谷はそれをすれ違い様に切り付ける。
「フシャーーーッ!!」
狼の様な生き物は悶えながら消えていった。
残りは二匹。
二匹目。こいつはジグザグに走って来る。
「んなモン効くかよ!」
苅谷はその場で斧を片手に回転し始めた。
「………!!」
一瞬の出来事。
回転していた苅谷の身体が、滑らかに路地を切り裂いた。
路地ごとに敵を切り裂いた。
壁も、電柱も、フェンスも、空気も、風も。
そして敵も。
「残り一匹!ってシバあんた何もやってないじゃない!」
苅谷が怒りながら振り返る。
「あぁー、そうだな。よし、いっちょやるか!」
俺は武器詠召(リード)を開始した。
「ΗΜμπτЩЩюИ」
<復元せよ。我望む形に。>
「Μμ」<復元>。
手を何も無い鞘にかざす。
鞘の口が光る。
光が収まる頃には、
さっきまで何も無かった鞘に
剣の持手が在る。
「使うのは久々だな。」
俺はその剣をゆっくり引き出す。
鞘で剣が擦れる小さい音と共に、
剣が姿を現した。
日本刀とは違い湾曲していない真っすぐな刀身。
その身には、一点の曇りも無い。
「覚悟しな。お前。」
切っ先を走って来るキメラに向ける。
俺はゆっくり歩きだし、キメラが俺に飛び掛かって来る。
剣を振り下ろす。
剣は下りる間に黒く、漆黒の色に染まり、
その刀身は10倍、30倍は大きくなる。
「闇に祈れ。」
剣はキメラを、また路地を切り裂いた---。
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