COUNT.01 街と始まる世界の範囲

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「とりあえず後ろからあいつ等が来る前に突破するぞ!苅谷!!」 「はいはーいっ!」 苅谷は後ろ腰に掛けてあった 手袋(グローブ)を取り出して、 目の前で合わした。 「ЯΙιλνρЖ」 <我求む。解放を。> 苅谷はアレを唱え始めた。 「Ж」<解放>。 そう唱えた苅谷の手から大きな斧が出てきた。 今苅谷がやったのは 武器詠召(リード)。 一人ひとりが所有する道具を媒体に、 武器を呼び出す事が出来る。 ちなみに武器は、自分で作る事も、 店で購入する事も出来る。 「うりゃぁぁぁあああ!!」 苅谷が疾走してキメラに攻撃を仕掛ける。 キメラは3匹。 敵はそれぞれ3方向に別れた。 最初の一匹は壁伝いに走って来る。 苅谷はそれをすれ違い様に切り付ける。 「フシャーーーッ!!」 狼の様な生き物は悶えながら消えていった。 残りは二匹。 二匹目。こいつはジグザグに走って来る。 「んなモン効くかよ!」 苅谷はその場で斧を片手に回転し始めた。 「………!!」 一瞬の出来事。 回転していた苅谷の身体が、滑らかに路地を切り裂いた。 路地ごとに敵を切り裂いた。 壁も、電柱も、フェンスも、空気も、風も。 そして敵も。 「残り一匹!ってシバあんた何もやってないじゃない!」 苅谷が怒りながら振り返る。 「あぁー、そうだな。よし、いっちょやるか!」 俺は武器詠召(リード)を開始した。 「ΗΜμπτЩЩюИ」 <復元せよ。我望む形に。> 「Μμ」<復元>。 手を何も無い鞘にかざす。 鞘の口が光る。 光が収まる頃には、 さっきまで何も無かった鞘に 剣の持手が在る。 「使うのは久々だな。」 俺はその剣をゆっくり引き出す。 鞘で剣が擦れる小さい音と共に、 剣が姿を現した。 日本刀とは違い湾曲していない真っすぐな刀身。 その身には、一点の曇りも無い。 「覚悟しな。お前。」 切っ先を走って来るキメラに向ける。 俺はゆっくり歩きだし、キメラが俺に飛び掛かって来る。 剣を振り下ろす。 剣は下りる間に黒く、漆黒の色に染まり、 その刀身は10倍、30倍は大きくなる。 「闇に祈れ。」 剣はキメラを、また路地を切り裂いた---。
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