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「あのねあのね、これは提出品じゃないけど、作った私もびっくりの出来よ!」
準備をしていたらしいハナンが、あたしの置いた服を勢い良くカウンターの内側へ払いのけ、ドンと水槽を乗せた。
客が持ってきた仕事をのけるな!
「ここにナメクジとカエルがいるでしょ?」
あたしの心の叫びを無視して、ハナンは持ってきた水槽を指差した。
確かに、中には異様に元気よく飛び跳ねるカエルと、のったり動くナメクジが一緒に入れられている。
「ここで取り出したるは液体 『チェンジX』」
ハナンが手に持ったのは、さも作りたてといった感じの、ビーカーに入った紫……じゃなくて黒……いや青緑……?
なんとも形容しがたい色の液体がちゃぷりと揺れた。
「カエルの方に液体『チェンジX』を塗る」
やや粘性の液体が、スポイトからカエルの背中へと落とされた。
カエルは一瞬びくりと身をよじらせたが、すぐに何事も無かったかのように飛び跳ね始める。
「何も変わらないじゃない」
「効果はこれからよ!」
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