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あたしの言葉を遮り、ハナンはシーッと口に人差し指を当てた。
静かにしていろと言いたいらしい。
相も変わらず飛び跳ね続けるカエルだが、そこは空間が限定された水槽内。
段々と一緒に閉じこめられていたナメクジに近付いていき、二匹が接触した瞬間――
ヴュン!
音を立て、カエルとナメクジは同時にひっくり返った。
「おぉっ!?」
数秒とたたない内に両者はまた動き始めた。
しかし、その動きは……
カエルは足の使い方を忘れたかのようにうねうねと水槽の底を這いずりだし、ナメクジはこの狭い水槽から抜け出そうと飛び跳ね始めた。
「入れ替わった……?」
「そう、でもただ入れ替わっただけじゃないのよ!」
興奮気味のハナンはそう言うと、今度はその水槽の中に猫を入れた。
見るからに肉食っぽい、獰猛そうな猫だ。
早速這いずり回っているカエルを見つけ、すぐさま飛びかかる。
両者が触れた瞬間、カエルと猫はまたしても同じ様にひっくり返った。
猫は支えを失ったようにペタリと這いつくばり、カエルは四本足を同じ長さに突っ張らせ、のっそり歩き始める。
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