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ところが。
カエルが動き出した瞬間、至近距離にいた猫がパクリとカエルを食べてしまったのだ。
「あ」
「どうよ?」
ハナンが感想を聞きたそうににじりよってくる。
猫がなったナメクジってのは、どう考えてもカエルを食べるような肉食ではない。
となると猫の本能的な部分は健在だったわけで、入れ替わったのは……
「能力……?」
「その通り!
中身はそのまま、体もそのまま、だがしかし!
『出来る事』が入れ替わる、それがチェンジX!
制作者自身もまさかこんな効果が出るとは思っていなかった、それがチェンジX!」
分からずに作っとったんかい。
しかし、その液体一滴でその効果となると、やはりすごいと思わざるを得ない。
あたしは感心してハナンが持っているその光沢ある液体を見つめた。
「なるほどね。
これなら試験もいけるんじゃない?」
「ありがと!
でもねー、まだ改良すべき点が色々……」
ハナンが難しげな顔で腕を組んだ時、壁に掛かった時計が不気味な声で三時を告げた。
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