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……こんなの誰か持ってたっけ……？
なんだか違和感を覚え、あたしは一旦手を止めるとそれをつまみ上げてしげしげと眺めた。
まずなにでできているんだろう、これは。
革製のようななめらかさは感じなければ、草のような軽さも通気性もなし、そのくせなにかの気配と暖かみを感じる。
なんか怖い。
なにより不安感を煽るこの紫……じゃなくて黒……いや青緑……？
とにかくよく分からない色合いが装着させるのをためらわせる。
もったいないな、デザイン自体はいい感じなのに。
しかし他にも運ぶ服はある、それだけに意識はさけない。
仕方なく、あたしは目をつぶってえいやっとそのグローブを右手にはめた。
空を見上げれば、日の光がまぶしい程に突き刺さる。
天気は晴天、ハナンの店を出ておやつの時間をやや過ぎた。
時間を意識すると、なんだか急にすごく働いたような気になってくるから不思議だ。
ちょっと位寄り道してもいいだろうと勝手に結論づけ、あたしは方向を変えることにした。
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