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ハナンが奥の方へ引っ込み、しばらく物音と魔女の独り言が響く。
パタパタ、
あれ、どこだっけー?
ゴソゴソ、
あーあったあったー!
エルフさん今持ってくー!
つるっ
ズデッ!
バサバサバサ、ドンガラガッシャーン!
…………わしわしわし。
数秒の沈黙が続いて、ハナンが大量の洗濯物を抱えて戻ってきた。
「いやー、お待たせ」
「ちょっと待てぇ!
今転んで服落としたろ!」
「えー、何の話?」
「口笛吹いてごまかすな、取り繕ったのが丸わかりだっての!」
あからさまに怪しい汗をかきながら、ハナンは木製の黒いカウンターにポンと服を置いた。
よほど必死で拾ったのか、一見きちんと整っている服達はよーく見ると端がそろってなかったりシワが寄っていたりしている。
もっと追求してやろうかと思ったが、何を言ってもハナンが聞き流す事は承知済み。
諦めの境地であたしは服を受け取り、代わりに持ってきた依頼品を置いた。
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