0人が本棚に入れています
本棚に追加
「ええと……二刀流?」
道場の中央で構える。
正眼で構える優奈に対して、俺の手には竹刀が両手に一本ずつ、合計二本握られていた。
「ああ。2011年だからな。せっかくだから11を装備してみた」
「棒イコール1の二つで11ってこと? ……よくそんなくだらないこと考え付くわね」
「うるさい、いいからやるぞ。ラスト!」
言いながら踏み込む。
これまでは一本しかなかったから、踏み込んだ後のカウンターに対応する隙がなかったが、今度は二本だ。
一本落とされようが、動けなかろうが、もう一本あれば何とか―――
「―――アレ?」
おお、なんということでしょう。
そんなことを考えているうちに、俺の左手からはいつの間にか竹刀が消えており。
目の前には、すでに突きの体制に入った優奈の姿が。
「わぁ、不思ぎゃぁあっ!!」
どぉーんっ♪、と。
実に楽しそうな擬音つきの踏み込みで、思いっきり突き飛ばしてくれる。
「っ――――、ひ、ひどくねーか」
「ひどいのはそっちよ。ギャグ寒いし。
大体、二刀使いだなんて、宮本武蔵のような桁外れの怪力があってこそ成り立ったんだから、いくら竹刀とはいえ直哉程度のにわか二刀が使い物になるわけないじゃない」
「む――――。それなりに効果はあるかと思ったんだけどな」
そりゃ、勝つのは無理でもさ。
カウンター対策くらいにはなってもいいじゃない。
最初のコメントを投稿しよう!