序章 超々過密都市Tokyo

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西暦2020年 [襲来]  人類は地球という居場所を維持し続けてきた  その居場所は汚れた大気が星空を覆い隠し、いつしか闇夜は人工の燈にかき消され人々の心から忘れ去られるまでになっていた  だが、そのような場所ででも人々の生命の息吹の波は衰えることなく溢れる街並みは新たなる革新を求め彷徨い続けていた  心のどこかで空虚な部分を感じながら…  それは前触れもなしに起きた  今まで維持し続けてきた居場所が突如、破滅への道へと向けて動き始めたのだ  空高く立ち上る眩い閃光、人々が目を細め何が起きたのか見定めようとした瞬間、それは全てを包み込んだ……直後、居場所の一つ都市東京が消え去った  そこに住む人々の生命と共に…  人々の瞳には記憶から失われて久しい闇夜の姿が映し出され、多くの人々が絶望を直観的に感じ取り恐怖に身を強ばらせた  徐々に広がる閃光の影に怯え、為す術もなく地球全体を包み込んでいくのをただ愕然と見つめることしか出来なかった  それは全ての存在を終局へと導こうとしているかのようにも見えた…否、人類の存在そのものを滅ぼそうとしていたのかもしれない  それを証明するかのように何千万もの生命と多くの居場所を人類は失った  だが、人類は生き残った…  世界各国で[襲来]の影響が収縮し始めた頃、人々の心に疑惑の念が生まれ始めた  なぜ、このような災害が起きたのだろうかと…  臨時政府が設立され始めた先進国では人々は原因の追求を政府に迫った  各国政府の調査結果は某国の軍事衛星の落下、隕石の東京直撃による地殻変動等、それぞれの憶測の域を出ないものばかりで真実はいつしか闇へと葬られていった  誰もが、隠蔽された虚実に過ぎないと認識しながらも当時の人々にはそれらを模索するゆとりを持ち合わせていないのも事実だった  閃光が飲み込んだ世界を復興させるために自らの居場所を造り上げなくてはいけなかったからだ  そして時は流れ、半世紀もの歳月が幾つかの主だった都市を復興させた  [襲来]の直撃を受けた旧東京都市も新たな居場所を造り上げていた  超々過密都市TOKYO…
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