第二章 覚醒の予感

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《…転送終了、外部からの不正アクセス有無…確認、END OF TIME施錠、新たなロックパスワード登録…完了》  事務的に作業をこなしながら奈月はそっと閉じられた扉に触れた 《作業完了、DIVE解除と共に離脱するわ…》  離脱の言葉に周囲の景色が暗転し、奈月の意識は瞬時に現実世界へと変換されていく ―ふぅ…終わったわよ、  身体に装着されていたDIVEシステムが自動的に取り外されていくのを待ちながら奈月はシステムのチェックを素早く行っていく 「相変わらず几帳面ねぇ~」  次々とチェックの終わっていく様子をディスプレィごしに見つめながら皐月は呆れた様子で言った 「あらっ、そんなことないわよ」  背後から奈月の声が聞こえ、皐月はビクッと身体を震わせ後ろを振り返った 「えっ?あれ?じゃあ、今システムチェックしてるの…うんっ?」  皐月は自分のモニターと、髪を後ろに束ねながら可笑しそうに微笑む奈月を交互に見ながら困惑した表情を浮かべる 「ふふっ、ちょっと[kasumi]に手伝ってもらったの」 [kasumi]、それは奈月達が所属する情報管理局のメインコンピュータの通称で、奈月と直属の上司である宮乃とで造り上げた仮想人格(AI)の事だった
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