第二章 覚醒の予感

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       *  活気に満ち溢れた大通りを走りながら皐月は転送された情報の一部を処理していた  そこに映し出した情報だけでも尋常でない量が映し出されており思わずため息が漏れる 「…大体、何も存在しない場所にどうしてこれだけの量の情報が在るのかしらね…ねぇ、奈月?」  隣の同乗車に質問したつもりだったが返答がない  ちらりと奈月を見ると窓枠に頬杖をつきながら眠っていた (…あんな場所に毎日いってりゃあ、そりゃあ疲れるわよね~)  DIVEシステムはその構造から使用者の体力と精神力をかなり消耗する装置だった  肉体を強制的に原子レベルまで分解し、電子信号に再構築することにより擬似世界、つまり電子ネットワークの住人になるという装置だ  普段ならば、コンピュータ内に侵入することを目的として作られたのだが『DarkNight』内ではコンピュータが存在しないにも関わらず、その場所には電子ネットワークが形成されていた  その調査を行うのが立入禁止区域に唯一、侵入許可を持つ皐月達、TER‐S情報管理局の仕事だった
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