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「『聖杯戦争』」
黒衣の神父が、語り始める。
「……参加する魔術師は七人。彼らはマスターと呼ばれ、七つのクラスに分かれた使い魔『サーヴァント』を使役とする……」
それはもう、終わったはずの物語。
「……これは、たった一つきりの聖杯を奪い合う、殺し合いだ……」
もう起るはずのない物語。
「……君も魔術師なら、とうに覚悟は出来ていよう……」
だからこれは、偽り。
「……答えを聞こう」
そう、決して真実ではない。
「衛宮士朗!」
架空の戦い。
「告げる。
汝の身は我が下に、我が運命は汝の剣に。聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うなら応えよ。誓いを此処に、汝の三大の言霊を守る者、抑止の輪より来たれ。天秤の守り手よ!」
此処に、あの日の出会いは存在しない。
「あぁ、それなら問題ないでしょう、私は貴女が呼び出したサーヴァントだ。
それが最強でないはずが無い」
紅の少女が出会うのは、烈火の女騎士。
「やっちゃえ、バーサーカー!」
「くかきけこかかきくけきき――」
ホムンクルスの少女と、レベル5の悪党。
都市伝説(ライダー)
存在無き者(ランサー)
吸血鬼(キャスター)……
……そして
「召喚に従い参上した。……あんたが俺のマスターか?」
彼が出会うのは、漆黒の死神。
Fate/stay night [a forgery]
その日、偽りの運命に出会う。
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