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そうして親父に助けられ、なんとか立ち直ったオレはこうやって母さんの命日にお見舞いに来てるわけですよ。
しっかし、あのとき限定で親父かっこよかったなぁ。
なんでこんな頑固親父になっちまったんだか。いやはや、時の流れは恐ろしいものですなぁ。
「おい、クソガキ。突っ立ってないでさっさと手伝え」
うんうんと頷いていると、顔は向けて来ないが親父のドスの聞いた低い声が耳に届く。
なんでいつもこの人はこういうタイミングで話しかけてくるかな。
はぁ、と溜め息をついてから一歩前に足を動かす。
膝を曲げて掃除している親父の横に、同じように膝を曲げて荷物の中からロウソクを取り出し、ロウソク立てに立てる。
「よっこらせっと」
正面の掃除が終わったのか、親父は裏側に周り、濡れタオルで墓石を丁寧に拭いている。
墓石を挟んで向かい側に見える親父の顔はどこか嬉しそうだ。
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