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親父の少しの勘違いに安堵するがそろそろ止めないと本当にまずいぞ。
親父の機嫌が最悪になり殴って来たらひとたまりも無いからな。
少し落ち着くもヒィヒィ言いながら笑いを必死に堪え手を動かす。
…病気じゃ無いからな?
袋からマッチを取り出し、笑いすぎて目に溜まってしまった涙を人差し指で拭う。
箱の中に二本の指で棒を掴み、箱の側面で素早く擦る。
マッチ棒の先端に小さな火が灯り、少しづつ薄暗くなってきた空気を僅かに明るくする。
今にも消えてしまいそうな、か弱い火をロウソクにゆっくりと灯す。
マッチ棒をロウソクから離して軽く振り、使い道の無くなった火を静かに消す。
火を消したと同時に、目の前でタオルを絞っていた親父が立ち上がった。
親父は顔を一瞬しかめ、水の入った桶とタオルを持ち山の奥へと歩き出した。
どうやら親父は少し離れた川に向かい、水を替えてくるみたいだ。
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