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親父がいなくなってから少しばかり時間が経ち、近くの切り株に腰を下ろしている。
お供え物などやるべき事は全て終わらせて、今は親父を待っている。
…それにしても親父のやつ遅いな。連絡を取ろうにも山の中じゃ使えないし。
ましてやあの人は機械だったら何でもぶっこわす機会音痴だから、当然携帯なんか持っている筈がない。
やっぱり迷ったのか?
いやいやいや、それはないか。もう此所に10年以上来てる訳だから迷う事はないはず。
しかもあの親父がへまをすることなんて絶対に有り得ないから大丈夫だな。
しかし、オレの考えとは裏腹に時間だけが過ぎていき、空はすっかり夜に呑み込まれて来ている。
ロウソクの火は墓石を僅かに明るくする事しか出来ていない。
このままでは何も見えなくなる。念のためにと持ってきていたライトが役に立つ時が来たみたいだ。
切り株に座りながら自分の横に置いてある荷物を漁りライトを探す。
「え~っと、確か此所に………あった!」
ようやく見つけたライトを荷物から取り出し、スイッチを入れようとした…。
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