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汗ばんだ右手でライトを強く握り締め、スイッチをゆっくりと押す。
不安で支配されている心を鼓舞するように一度短く息を吐き、ライトの先を辺りに向ける。
万が一の時のライトであるため、決して光は大きくない。
5m程先しか光が届いておらず、更には光がたまに点滅したりと、上手く周りを確認することが出来ない。
こんな状況で文句を垂れていてもしょうがないか。
果たして準備がいいのか悪いのか。自責の念を込めた溜め息が自然と口から溢れる。
まぁ何であろうと、とりあえず確認はしなきゃな…。
気を取り直し、まずは地面に光を当て足元を確認する。
先程の突風の仕業だろう、いまだ成熟していない小さな葉がぽつぽつと落ちている。
足元を充分に見渡し安全を確認した後に、光を少し離れた所に当てる。
此方も同じように小さな葉が落ちていたり、細く弱々しい枝が横たわっている。
その場を軸に辺りに光を向けながら一周し、不審なものがないか目を凝らす。
途中で光が急に点滅するたびに、本気で心臓が飛び出るかと何度も思ったがとりあえずは何もなさそうだ。
…ヘタレと思ったやつ今すぐ出てこい。顔面に親父直伝パンチをぶち込んでやる。
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