プロローグ

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  満月の夜… 冷えきった空気が漂う中 僅かな暖かさをもった風が 身体をすり抜け 小さな花がゆれる。 広い荒野で 泣き叫ぶ赤ん坊を 優しく抱える夫婦がいた。 服は焼け焦げ、身体中に痛々しい傷痕が刻まれている。 辺りは一面火の海。 燃え盛る炎の奥から 無数の邪悪な眼(まなこ)が 顔を覗かせる。 夫婦は泣き叫ぶ赤ん坊をあやしながら 互いに瞳を合わせ微笑む。  
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