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うん、意味なかった。
化け物は眼前に広がる木々を次々と薙ぎ倒しながら迫ってくる。
その姿は正に猪突猛進。猪じゃないけどね。
…こんなに余裕のある自分を尊敬したい。
未だに後ろをちらちら見ながら走るオレは偶然、化け物と眼が合う。
眼がもうヤバイ。あれは完全に狩る側の眼だ。
直ぐさま前に向き直り、二度と振り向かないことを決意する。
次々と現れる障害物を跳んだり避けたり、ひたすら走る。何処までも続く暗闇に飲み込まれにいくように、ただ、ひたすら。
―――
どれくらい走ったんだ? とりあえず五、六kmは走ったか。
少し息切れしているオレを、少しもペースは落ちずに化け物は追ってくる。
つうかやばいよ。今さら思ったんだけど、何処まで逃げれば終わるのこれ?
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