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多少錆び付いた、如何にも安物といわんばかりに大きめのエンジン音が車内に響く。
中古の軽自動車に揺られ、車内に演歌が流れる中、オレは窓の外をずっと眺めている。
かれこれ3時間ほど車に揺られているが、もう1時間以上窓の外には畑や田んぼ、山や川ばかりが広がっている。
ふと窓の外にやっていた視線を隣の運転席に移す。
坊主で妙に体格のいい親父が、ハンドルを握りながら陽気に鼻歌を歌っている。
そんな鋭い目つきと左目に眼帯つけてる親父が鼻歌って、ミスマッチにも程があるだろ…。
「なぁ親父…」
「んぁ? なんだクソガキ」
鼻歌の途中で話しかけられた親父は、少し不機嫌になりながら聞き返してくる。
相も変わらず口の悪さは一級品だ。
「前から気になってたんだけど、なんでこんな田舎に墓たてたんだ?」
いまオレたちは墓に向かっているわけだが、何故こんな田舎にたてたのか疑問に思って仕方ない。
「あぁそんなことか、簡単だ。墓っていったらやっぱり山の中だろ?」
即座に左フックを咬ました理由は良くわかるよな?
「あっぶねぇな。親の顔面を殴ろうとするなよクソガキ」
なんか久々に親父に対して殺意が湧いてきたよ。
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