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握りこぶしを一振り入れた後、そのままの勢いで湧いてくる殺意の元凶に詰め寄る。
「毎年数時間かけてここまで来る理由がそれかよ! なんで親父の頭の中は墓の場所が山とイコールになってんだよ!?」
「あぁうるせぇうるせぇ、別に理由なんて大したことねぇからいちいちさわぐな。耳が痛くてしょうがねぇ…」
親父はそういうとあっち向いてろというように、しっしっとめんどくさそうに左手をひらひらとさせてくる。
この行動は流石に頭にくる、が 何か言ってもまた同じように流されるだけだと冷静に判断する。
若干の憤りを感じながらも大人しく窓の外に視線を戻した。
そろそろ4月に入るからか、外には所々に桜や梅の花がぽつぽつと咲いている。
深い色の葉を装飾した木々たちが、穏やかな春のそよ風になびいている。…表現のセンスねぇな、オレ。
そんな事を考えたりしてこの景色を観ていると、さっきの会話も忘れて心が穏やかなになってくる。
しばらく春の訪れを実感していると少しずつ瞼も重くなってくる…。
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