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―――
「―ぃ、おい起きろクソガキ」
安らかに眠っていると(死んでないからな)後頭部に重い鈍痛が降り掛かってきた。
「おぉぉ、いってぇ…」
「あぁ? 何回言っても起きねぇんだ。オメェがワリィ」
後頭部を両手で抑えて悶えるオレを、親父は呆れた表情で見下ろす。
くそっ、最悪な目覚めだよ。お花畑でもう少しすればチョウを捕まえられそうだったのに…。
あれ? おかしいな。殴られてから頭の中がメルヘンチックになっちまってる…。
完全にバカになっていると、一発目とは比べものにならない一撃が脳を揺らす。
「いってぇ!」
「着いたんだからさっさと降りろ。まだ殴られたいのかクソガキ」
うすら涙目になり悶えるが親父の無慈悲な言葉が降り注いでくる。
また殴ってきやがったよ、このクソジジイ。親父にも殴られたことないのに! …あ、コイツが親父だった…。
ついに頭が逝ってしまったと考えざるを得ないほどバカになる脳内。
すると、オレ専用殺人兵器(グーパンチ)が親父の顔の横でスタンバイしているのを確認。すぐさま脱出に試みる。
途中、舌打ちが聞こえた気がしたが考えるのはやめよう。
もし親父の機嫌を悪くしちまったら、間違いなくオレの脳が機能停止しちまう。それだけは何とかさけねぇと…。
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