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私が一族を放れて、あのひとの元へ行くと父様に告げたとき
父様はとても冷たい目で一言呟いたの。
たまゆら‥
たまゆらは、絹糸を作る蛾のカイコさんが、繭(マユ)を作って成虫になるときに、2匹以上で一つの繭を共同作業して作ったものを指すの。
そこから
寂しがり屋だとか、別れ難いほどの恋を例えたり
たまゆらは、文字の響きは美しいけど
繭としては繋ぎ目が有って、絹糸にするには価値のないもの。
中にいたカイコさん達も
繭玉を糸にするために煮込まずに、そのままにしていても成虫には成れずに死んでしまうのだそう。
だから玉響(タマユラ)と云う言葉は、意味のないこと。そこから転じて、儚いことを意味するの。
実ることの無い恋
子孫を残せない薄暗い未来
そんな、多くは悲劇を連想させる言葉
たまゆら。
父様はきっと、その両方を呟きに込めたのだと、今なら思う。
私がこうなる運命を、見通していたのだわ。
儚くて激しく美しい恋。
私はその想いを胸に抱いて
真っ白い雪の中で目を閉じた。
たまゆらの恋
けど
私は幸せだったの‥
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