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一の数を数えて、二の数を重ねてゆく。 それから三になり、四へと重みを帯びてくる。
私は、数えていた。明くる日からずっと…。見えない数を心の臓に合わせて、胸の中で、ぽっかりと開いた穴を塞ごうと、数えていた。
どこにいるの? あなたはどこに?
そんな問いが、ビンッと頭に響くのを追い出すために。
病床で、一人の童が眠っていた。童は、眠る目で、部屋のはしにうずくまる御子を見ていた。
御子は、手足に枷をはめられ、汚い着物を着ながらうなだれていた。
ピクリとも動こうとはしない。ただ、蚊の鳴くような声が薄く聞こえてきた。
「一…二…三……」
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