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「まったくどういうことだ」
兵長・クラブルは怒鳴った。
いかにも成り上がった風格をしている。でぶっと至福を肥やした腹を重そうにのけぞらせている。
「はい、しかし…」
気の弱そうな声で返事をしたのは先ほどの兵のような男だった。青草色の帽子を浅くかぶり、簡易な兵服を着て腰のベルトに剣を差している。案外しっかりした体格で、無精髭を生やしている。
「しかし、なんだ!この寒い中一日中、探し回っておるのに何故一人も見つけれん!!」
唾を飛ばしながら怒鳴りつけてくるクラブルに男は縮みあがった。
まさにこの怒号のような声でここまでやってきたようなものだ。
私共は一生懸命探しておるのです……
男は必死にそう言った。
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