帰宅寸前で家が爆発した。

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「どうして……、こうなった…………!?」 住宅の密集する、この町『笠谷町』唯一の住宅街の端っこにポツンと建つ青い屋根が綺麗な小さな二階建ての我が家。 俺『郁坂恭介』と両親、それに妹と弟が仲良く平凡に暮らしていた家、自宅。 それが今、目の前で家丸々使って中華料理でも作るんじゃないかってくらいの勢いで燃え盛っている。 家の前には消防車が三台も止まり、その周りを警察がトラロープか何かで集まる野次馬をその場から離れさせる。 「はっはぁ!!派手に燃えてるなぁ!!なぁ母さん?」 「えぇ、そうですねぇ」 なんて呑気なおじさんとお姉さんでしょうか。 俺のすぐ横で目の前の豪快に燃え盛る家を見て笑いながらそんな事を言う髭面のオッサンと、やたら若く見える茶髪の長い髪を後ろで結んだお姉さんは俺の両親だ。 何考えてんだ、まったく。 こんな時に言う事でもないだろうが、俺の母親こと『郁坂奏』のあの茶髪は生れつきで、両親のすぐ後ろで泣きじゃくる中学生位のギャルモドキの俺の妹『郁坂椿』のあの茶髪も、遺伝、生れつきだ。
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