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「早い方がいいんじゃないの? ユキだって八木田橋さんと離れてたら寂しいでしょう?」 『早くユキと暮らしたかったから』  母の言葉が八木田橋の台詞と重なる。 「あ……うん」  確かに言われてみれば遠距離恋愛、でも不思議と寂しいと感じたことは無かった。あの最初の旅行、八木田橋を好きだと自分の気持ちを認めたと同時に八木田橋は私のことは遊びだと思っていた。誰彼構わず遊びで抱くんだって思い込んでたし、だから諦めよう早く忘れようって自分を封じ込めていた。でもそれは間違いだと言わんばかりに八木田橋と会う機会を次々に与えられた。そして板泥棒の一件で八木田橋もわざと遊びだと振る舞ってたことを知った。母に背中を押されて八木田橋と付き合うと決心して、突然結婚の話をされて動揺し、更に赤ちゃんを授かって流産して……。だから寂しいとかそばにいたいとか、考える余裕なんてなかった。  それに、毎朝毎晩メールをくれる。毎週末電話をくれる。あのぶっきらぼうな八木田橋がまめにメールをしてくること自体、それだけで満たされるというか。 「……?」  メール……。まめなメール……。 .
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