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戻ってきた黒澤は、いつの間にやら
こざっぱりした細めのブルーのストライプのシャツに着替えていて、
いつもの面持ちを取り戻している。
「若、今夜は私がカゲヤマくんの部屋を張ります。
管理室では風間に人の出入りを現在チェックさせてます。
もし犯人が、進入されたことに気づいてないと思っていれば、再び彼女の留守中に戻ってくる可能性があります。
彼女の留守を狙ってだとしたら、恐らく何かを捜しているようなので。
もし、目的を達成出来てなかったら、今日と明日は最後のチャンスでしょうし。」
平素通りに済ませようとしている黒澤の為に、矢島も通常どおりにつとめることにした。
しかし、
オレンジに悪戦苦闘しているカゲヤマにふと気付くと、
「……カゲヤマくん、危ないから僕が剥いてあげるよ。」
と、黒澤本人は気付いていないだろうが、
若干甘く低くなっている声で優しく話しかけた後、
彼女に近付き手元からすっとスマートに
オレンジとペティナイフを受け取った。
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