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「どっちかってお前、どういう意味だよ?」
矢島がカップを置いて、彼女の表情を伺った。
彼女は視線をカップに落としたまま、矢島と目線を合わせない。
矢島は深く溜め息をついて、メガネを外しながら、
「……分かった、聞かない。物音収まったみたいだけど、戻るの当分ヤだろ?」
彼女が一生懸命首を縦に振る様子を見て、
「んじゃ、当分ここにいろ」
矢島の突然の申し出に、彼女の動きが急に固まってしまった。
「……え、いいの?」
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