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そんな二人のやり取りをきゃらきゃら笑いながら見ていたカゲヤマを見て、矢島と黒澤は優しい表情を浮かべた。
「とりあえず明日の日曜日、今からモニタリングをして何も異常がなかったら、一旦彼女の部屋の状況を調べましょう。
そこから何か糸口が掴めるかもしれません。」
いつものシャープな黒澤の表情に戻して話を進めていたが、カゲヤマがじっとこちらを見つめていることに気付いた黒澤が、
「……カゲヤマ君、どうしたの?」
不思議に思って訊ねると、
「……あ、いつもと室長、感じが違うなって、思って……。」
カゲヤマがふんわりと微笑みかけると、矢島がクールに、
「カゲヤマ、多分、前髪!。」
シャワーを浴びたままだった黒澤は、髪を簡単に乾かしたまま、いつもはあげている前髪を下ろしていたので、雰囲気が全然違っていたのだ。
「あ、……おかしいかな?」
黒澤は慌てて前髪をいじりだしたが、
「いえ、とても素敵ですよ、また違った魅力が……。」
カゲヤマがそう言って、またふんわり微笑むと、
黒澤は突然すっくと立ち上がり、
「ちょっと完全に乾かしてきます!」
慌ててリビングを飛び出して行った。
残された二人は顔を見合わせたが、急に背中を向けたあの社内一・二のポーカーフェイスの黒澤の顔が耳まで赤くなっていたことに、
矢島はしっかりと気付いていた。
「……マジかよ……。」
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