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「どうしたの?、矢島?」
矢島のつぶやきがカゲヤマに届いてしまい、心配する彼女へ、
「いやいや、カゲヤマ、心配しないで!、独り言。
そうだ、夕飯、外に出ない?」
「矢島ったら、今ご飯食べたばっかりなのに……。」
クスクス笑うカゲヤマの声を心地良く耳にしながら、矢島はこの時間を幸せに感じていたのだが……。
さっきの黒澤のリアクションが、引っ掛かる。
黒澤を例えた表現として、
“柔らかな鋼(はがね)”
と、取引先の誰かが表現していた。
表向きあたりが柔らかく、
何があっても決して変わらず対応するが、
根本は鋼のような確固とした精神があり、
感情に流されず、決して
自分が納得いくまで譲らない。
しかもあくまでも対応は抜群の為、
いつの間にか取り込まれると苦笑していた。
多少、黒澤をよく知らない周囲は
彼の表面に騙されている感はあっても、
あのルックスに紳士な物腰、
将来有望ときたら放ってはおかないだろう。
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